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【症例】74歳女性
【主訴】なし
【既往歴】両側肺癌術後、糖尿病
【現病歴】X年血便精査目的に当科紹介。造影CTで膵嚢胞性病変を認め、主膵管との交通を疑う多房性嚢胞だったためIPMNを疑い、肺癌術後と合わせて画像・血液検査で経過観察を行った。X+9年CEA: 7.5ng/dL、CA19-9: 90.5U/Lと上昇、造影CTで肺癌の再発なく、膵尾部嚢胞は不明瞭化していたが明瞭な腫瘤は指摘できなかった。しかし、EUSで膵尾部に11mm大の辺縁不明瞭・嚢胞成分を伴う低エコー腫瘤を認め、EUS-FNAを2セッション計5回(22G針3回、19G針2回)施行、いずれもChronic pancreatitisで悪性所見はなかった。MRIのT2WI・DWIで高信号、PET-CTでSUVmax3.1の集積を認め、IgG4は59.7mg/dLと正常だった。病理学的に悪性所見はなかったが、膵尾部癌の可能性を否定し得ず、腹腔鏡下脾合併膵体尾部切除術を施行した。切除標本では膵管上皮にびまん性にPanIN-1を認め、一部にPanIN-2が見られた。主膵管・小葉間膵管の上皮内や内腔に好中球浸潤、膵管周囲及び小葉に線維化を伴い、type2 autoimmune pancreatitis(type2AIP)に伴う腫瘤形成性膵炎と診断した。
【検討項目】type2 AIPはびまん性の膵管狭細像を示し、本例のような限局性病変は稀である。また、多くは炎症性腸疾患を合併するが、本例では認めず、術前にAIPを想起できなかった。術前の画像検査で、type2AIPを疑う所見があったか、追加で行うべき検査があったか、検討頂きたい。
O-18 PanINに2型自己免疫性膵炎を合併した1例
○平昭 衣梨1)、延藤 大樹1)、山下 由美子1)、津島 健1)、清水 晃典1)、大下 彰彦2)、花田 敬士1)、米原 修治3)、能登原 憲司4)、田中 信治1)
1)JA尾道総合病院 消化器内科、2)JA尾道総合病院 外科、3)JA尾道総合病院 病理研究検査科、4)倉敷中央病院 病理診断科
【症例】74歳女性
【主訴】なし
【既往歴】両側肺癌術後、糖尿病
【現病歴】X年血便精査目的に当科紹介。造影CTで膵嚢胞性病変を認め、主膵管との交通を疑う多房性嚢胞だったためIPMNを疑い、肺癌術後と合わせて画像・血液検査で経過観察を行った。X+9年CEA: 7.5ng/dL、CA19-9: 90.5U/Lと上昇、造影CTで肺癌の再発なく、膵尾部嚢胞は不明瞭化していたが明瞭な腫瘤は指摘できなかった。しかし、EUSで膵尾部に11mm大の辺縁不明瞭・嚢胞成分を伴う低エコー腫瘤を認め、EUS-FNAを2セッション計5回(22G針3回、19G針2回)施行、いずれもChronic pancreatitisで悪性所見はなかった。MRIのT2WI・DWIで高信号、PET-CTでSUVmax3.1の集積を認め、IgG4は59.7mg/dLと正常だった。病理学的に悪性所見はなかったが、膵尾部癌の可能性を否定し得ず、腹腔鏡下脾合併膵体尾部切除術を施行した。切除標本では膵管上皮にびまん性にPanIN-1を認め、一部にPanIN-2が見られた。主膵管・小葉間膵管の上皮内や内腔に好中球浸潤、膵管周囲及び小葉に線維化を伴い、type2 autoimmune pancreatitis(type2AIP)に伴う腫瘤形成性膵炎と診断した。
【検討項目】type2 AIPはびまん性の膵管狭細像を示し、本例のような限局性病変は稀である。また、多くは炎症性腸疾患を合併するが、本例では認めず、術前にAIPを想起できなかった。術前の画像検査で、type2AIPを疑う所見があったか、追加で行うべき検査があったか、検討頂きたい。
