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症例は60歳、男性。1か月前からの腹痛を主訴にX年7月に当院を受診した。血液検査で腫瘍マーカー高値であり、dynamic CTで膵尾部に57mm大の不整な腫瘤を認めた。腫瘤の動脈相で全体に乏血性だが、辺縁のみ静脈相にかけて漸増性の造影効果を認めた。また、横行結腸、左副腎、脾臓との境界は一部不明瞭であり、腹腔内の腸間膜に相当する部位に小結節が多発していた。以上から横行結腸・左副腎・脾浸潤を伴う膵原発悪性腫瘍の腹膜播種を疑った。EUSでは膵尾部に不整な低エコー腫瘤を認め、FNAで腺癌の組織診断となった。膵尾部癌cT3N0M1、Stage Ⅳの診断で、一次化学療法としてGEM・nabPTX併用療法を開始した。8コース施行しPR、末梢神経障害Grade2のため二次化学療法としてGEM単剤療法に移行した。5コース施行しPR維持、腫瘍マーカーは正常化、造影CTでは腹腔内に明らかな結節を認めなくなり、PET-CTでも原発巣以外に異常集積を認めなかった。X+1年8月、conversion surgeryとして膵体尾部切除術を施行し、浸潤性膵管癌(腺扁平上皮癌)、yp T3 N1a、断端陰性のR0切除、Chemotherapeutic grade 2の組織診断であった。術後補助化学療法としてGEM単剤療法を7コース施行し、明らかな再発なく経過している。
画像所見から術前に組織型を診断可能であったか、また、経時的な画像所見を踏まえ、conversion surgeryの是非・施行した時期が妥当であったかどうかについてご検討いただきたい。
O-2 化学療法が著効しconversion surgeryに至った腹膜播種を伴う膵尾部adenosquamous carcinomaの一例
○池田 佳彦1)、佐藤 高光1)、松本 悠亮1)、上野 航大1)、中原 祐貴1)、浅野 悠稀1)、林 春菜1)、東 暖乃1)、原田 丈太郎2)、栗山 仁1)
1)茅ヶ崎市立病院 消化器内科、2)横浜市立大学附属病院 病理部
症例は60歳、男性。1か月前からの腹痛を主訴にX年7月に当院を受診した。血液検査で腫瘍マーカー高値であり、dynamic CTで膵尾部に57mm大の不整な腫瘤を認めた。腫瘤の動脈相で全体に乏血性だが、辺縁のみ静脈相にかけて漸増性の造影効果を認めた。また、横行結腸、左副腎、脾臓との境界は一部不明瞭であり、腹腔内の腸間膜に相当する部位に小結節が多発していた。以上から横行結腸・左副腎・脾浸潤を伴う膵原発悪性腫瘍の腹膜播種を疑った。EUSでは膵尾部に不整な低エコー腫瘤を認め、FNAで腺癌の組織診断となった。膵尾部癌cT3N0M1、Stage Ⅳの診断で、一次化学療法としてGEM・nabPTX併用療法を開始した。8コース施行しPR、末梢神経障害Grade2のため二次化学療法としてGEM単剤療法に移行した。5コース施行しPR維持、腫瘍マーカーは正常化、造影CTでは腹腔内に明らかな結節を認めなくなり、PET-CTでも原発巣以外に異常集積を認めなかった。X+1年8月、conversion surgeryとして膵体尾部切除術を施行し、浸潤性膵管癌(腺扁平上皮癌)、yp T3 N1a、断端陰性のR0切除、Chemotherapeutic grade 2の組織診断であった。術後補助化学療法としてGEM単剤療法を7コース施行し、明らかな再発なく経過している。
画像所見から術前に組織型を診断可能であったか、また、経時的な画像所見を踏まえ、conversion surgeryの是非・施行した時期が妥当であったかどうかについてご検討いただきたい。
