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70代男性、膵管狭窄を認め、当院に紹介となった。膵酵素、腫瘍マーカー含め、採血に特記すべき異常はなかった。造影CTで、膵頭部に約7mmの動脈相で僅かに濃染される結節を認め、同部位で主膵管狭窄と尾側膵管拡張、狭窄周囲に多数の小嚢胞を認めた。MRIでは膵腫瘤は指摘困難で、膵頭部で主膵管の狭窄と小嚢胞の多発、尾側膵管拡張を認めた。超音波内視鏡検査では、膵頭部に約7mmの境界明瞭、輪郭不整な低エコー腫瘤を認め、同部位で小嚢胞の多発、尾側膵管の拡張を認めた。ソナゾイド造影で同腫瘤は正常膵組織と同等の造影パターンを呈した。ERCPでは、MRCPと同様で主膵管の狭窄と尾側の拡張を認め、擦過細胞診と膵液連続細胞診を行ったが、診断は困難であった。以上から、膵神経内分泌腫瘍や早期膵癌を疑い、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除検体に、肉眼的に腫瘤は認めなかったが、HE弱拡大で主膵管を囲むような7mm大の線維化を多く含む腫瘤をみとめ、強拡大で同腫瘤に線維増生と類円形核を持つ細胞の胞巣状増生を認めた。腫瘍細胞免疫染色でsynaptophysin+、chromograninA+、Ki67指数<1%、serotonin+であり、serotonin産生膵神経内分泌腫瘍G1と最終診断した。Serotonin産生に伴う臨床症状は認めなかった。術後2年再発なく経過している。
【検討項目】1)術前の画像診断について2)小型のPNETにより膵管狭窄が生じた病理学的な機序について、ご検討いただけたらと思います。
O-20 主膵管狭窄を来した7mmの膵神経内分泌腫瘍の一例
○黄 哲久1)、酒井 新1)、田中 雄志1)、小林 隆1)、増田 充弘1)、児玉 裕三1)、神澤 真紀2)、外山 博近3)
1)神戸大学医学部附属病院 消化器内科、2)神戸市立西神戸医療センター 病理診断科、3)神戸大学医学部付属病院 肝胆膵外科
70代男性、膵管狭窄を認め、当院に紹介となった。膵酵素、腫瘍マーカー含め、採血に特記すべき異常はなかった。造影CTで、膵頭部に約7mmの動脈相で僅かに濃染される結節を認め、同部位で主膵管狭窄と尾側膵管拡張、狭窄周囲に多数の小嚢胞を認めた。MRIでは膵腫瘤は指摘困難で、膵頭部で主膵管の狭窄と小嚢胞の多発、尾側膵管拡張を認めた。超音波内視鏡検査では、膵頭部に約7mmの境界明瞭、輪郭不整な低エコー腫瘤を認め、同部位で小嚢胞の多発、尾側膵管の拡張を認めた。ソナゾイド造影で同腫瘤は正常膵組織と同等の造影パターンを呈した。ERCPでは、MRCPと同様で主膵管の狭窄と尾側の拡張を認め、擦過細胞診と膵液連続細胞診を行ったが、診断は困難であった。以上から、膵神経内分泌腫瘍や早期膵癌を疑い、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除検体に、肉眼的に腫瘤は認めなかったが、HE弱拡大で主膵管を囲むような7mm大の線維化を多く含む腫瘤をみとめ、強拡大で同腫瘤に線維増生と類円形核を持つ細胞の胞巣状増生を認めた。腫瘍細胞免疫染色でsynaptophysin+、chromograninA+、Ki67指数<1%、serotonin+であり、serotonin産生膵神経内分泌腫瘍G1と最終診断した。Serotonin産生に伴う臨床症状は認めなかった。術後2年再発なく経過している。
【検討項目】1)術前の画像診断について2)小型のPNETにより膵管狭窄が生じた病理学的な機序について、ご検討いただけたらと思います。
