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症例は41歳、男性。現病歴は、健診の腹部超音波検査にて膵尾部に60mm大の腫瘤を指摘され、当院に紹介受診となる。血液検査は、腫瘍マーカーを含めて異常所見を認めなかった。腹部造影CTでは、膵尾部の腫瘤はやや不均一に早期濃染され、腫瘤辺縁には多房性嚢胞性病変を認めた。MRCPで腫瘤の充実成分は、T1強調像で境界明瞭な低信号、T2強調像でやや高信号を呈し、腫瘤辺縁にはT2強調像で高信号を呈する小嚢胞の集簇を認めた。主膵管に拡張はなく、多房性嚢胞性病変との交通を認めなかった。EUSでは55mm大、類円形で境界明瞭、辺縁整、内部不均一な低エコー腫瘤として描出された。また、腫瘤辺縁には隔壁様構造を有する多房性嚢胞性病変を認め、腫瘤と連続していた。ソナゾイド造影を行うと、腫瘤は早期濃染され、多房性嚢胞性病変は隔壁様構造のみ造影された。以上の所見より膵腫瘤は膵神経内分泌腫瘍を疑ったが、多房性嚢胞性病変に関してはリンパ管腫やSCNなどの併発を考えたが術前診断困難であった。播種のリスクを考慮し、EUS-FNAは施行せず、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。切除検体の病理組織所見より、膵尾部腫瘤は膵神経内分泌腫瘍(G2)の診断であり、多房性嚢胞性病変は腫瘍の圧排で拡張したリンパ管の集簇と考えられた。
このようなリンパ管拡張が起こった要因、術前に診断が可能であったか、また病理診断について、ご討論いただきたい。
O-21 術前診断に苦慮した多房性嚢胞性病変を伴う膵神経内分泌腫瘍の1例
○平川 徳之、祖父尼 淳、土屋 貴愛、田中 麗奈、殿塚 亮祐、向井 俊太郎、永井 一正、松波 幸寿、山本 健治郎、糸井 隆夫
東京医科大学 臨床医学系消化器内科学分野
症例は41歳、男性。現病歴は、健診の腹部超音波検査にて膵尾部に60mm大の腫瘤を指摘され、当院に紹介受診となる。血液検査は、腫瘍マーカーを含めて異常所見を認めなかった。腹部造影CTでは、膵尾部の腫瘤はやや不均一に早期濃染され、腫瘤辺縁には多房性嚢胞性病変を認めた。MRCPで腫瘤の充実成分は、T1強調像で境界明瞭な低信号、T2強調像でやや高信号を呈し、腫瘤辺縁にはT2強調像で高信号を呈する小嚢胞の集簇を認めた。主膵管に拡張はなく、多房性嚢胞性病変との交通を認めなかった。EUSでは55mm大、類円形で境界明瞭、辺縁整、内部不均一な低エコー腫瘤として描出された。また、腫瘤辺縁には隔壁様構造を有する多房性嚢胞性病変を認め、腫瘤と連続していた。ソナゾイド造影を行うと、腫瘤は早期濃染され、多房性嚢胞性病変は隔壁様構造のみ造影された。以上の所見より膵腫瘤は膵神経内分泌腫瘍を疑ったが、多房性嚢胞性病変に関してはリンパ管腫やSCNなどの併発を考えたが術前診断困難であった。播種のリスクを考慮し、EUS-FNAは施行せず、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。切除検体の病理組織所見より、膵尾部腫瘤は膵神経内分泌腫瘍(G2)の診断であり、多房性嚢胞性病変は腫瘍の圧排で拡張したリンパ管の集簇と考えられた。
このようなリンパ管拡張が起こった要因、術前に診断が可能であったか、また病理診断について、ご討論いただきたい。
