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O-24 遠位胆管に生じたIPNBに対して膵頭十二指腸切除術を施行した一例

○関根 匡成1,3)、井村 穣二2)、水谷 琢1,3)、岡本 四季子3)、中川 慧人3)、比留間 晴彦3)、村上 規子3)、斎藤 雅彦3)、眞嶋 浩聡1)
1)自治医科大学附属さいたま医療センター 消化器内科、2)熊谷総合病院 病理診断科、3)熊谷総合病院 消化器内科


 症例は82歳男性。軽度の肝胆道系酵素上昇の原因精査にて施行した造影CTで肝内胆管の拡張と遠位胆管癌を疑う腫瘤性病変を認めた。MRCPでもCTと同様の所見であった。EUS施行すると、乳頭部から胆嚢管合流部付近まで胆管内に充満する腫瘍を認めた。膵実質への浸潤を疑う所見はなく、ソナゾイドにて造影効果のある乳頭状の腫瘍が確認された。プラスグレル塩酸塩内服中であり、ERCPを行わずに手術の方針とした。乳頭膨張型の遠位胆管癌、cT1N0M0 cStageⅠAと診断し、高齢であったがPS良好であり、膵頭十二指腸切除術の方針とした。術後問題なく、退院となった。病理所見は、組織像は乳頭状増殖の他、管状、小嚢胞状、篩状構造など多彩に見られた。異型度は高いもの、間質浸潤がないことから、最終診断Intraductal papillary neoplasm of bile duct (IPNB) with high grade intraepithelial neoplasiaとした。現在、IPNBは膵IPMNのカウンターパートとして提唱され、一つの疾患概念となっているが、1型と2型の分類など、未だコンセンサスの得られていない部分もある。本症例は、局在や粘液産生がわずかであることから2型に分類した。亜型は組織像、免疫染色でMUC1、MUC5AC陽性であることから膵胆道型と診断した。
【検討項目】術前診断は問題なかったか。術前診断でERCP(胆道鏡、および生検)も行うべきであったか、2型IPNBの診断で問題なかったかを討議していただきたい。