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64歳男性。健診の腹部超音波検査にて膵尾部低エコー腫瘤を指摘。同腫瘤はMRIにて膵尾部腹側に2cm大のT1WIで軽度低信号、T2WI低信号の分葉状腫瘤として指摘され、造影CTでは漸増性の造影効果を認めた。精査目的に当科紹介となり、超音波内視鏡検査(EUS)を施行した。EUS所見では膵尾部腹側に突出する境界明瞭な一部に高エコー域を伴う低エコー腫瘤を認め、ソナゾイド造影では乏血性であった。EUS-FNAを施行し、病理所見では厚い膠原線維束からなる間質に小型の腺房細胞を認め、核異型や核分裂像、壊死は認めなかった。FNA検体量は十分であったが、FNA検体のみでは全体像の推定は難しく、良悪性の判断は困難であった。外科と協議し、経鼻膵管ドレナージ術(ENPD)を行った上で核出術を行い、術中迅速診断を行う方針となった。
膵尾部腫瘤に対して核出術を施行したが、術中迅速診断では腺房細胞に類似した細胞が充実性胞巣を形成し増殖する像を認め、軽度の核異型を認めたことから腺房細胞癌や神経内分泌腫瘍の可能性も否定できなかったため、最終的にD2郭清を伴う膵体尾部切除術を施行した。切除標本での最終病理診断は膵過誤腫であった。
【検討していただきたい点】本症例では画像検査では術前診断が困難であり、病理検査ではFNA検体及び術中迅速検査共に良悪性の診断が困難であった。術前の画像所見やFNA検体により良悪性診断や過誤腫の推定が可能であったかご検討いただきたい。
O-25 術前及び術中検査にて診断困難であった膵過誤腫の一例
○梶川 彩那1)、藤田 光一1)、阿南 隆洋1)、椋棒 英世2)、稲葉 真由美3)、渡辺 明彦1)
1)淀川キリスト教病院 消化器内科、2)淀川キリスト教病院 外科、3)淀川キリスト教病院 病理診断科
64歳男性。健診の腹部超音波検査にて膵尾部低エコー腫瘤を指摘。同腫瘤はMRIにて膵尾部腹側に2cm大のT1WIで軽度低信号、T2WI低信号の分葉状腫瘤として指摘され、造影CTでは漸増性の造影効果を認めた。精査目的に当科紹介となり、超音波内視鏡検査(EUS)を施行した。EUS所見では膵尾部腹側に突出する境界明瞭な一部に高エコー域を伴う低エコー腫瘤を認め、ソナゾイド造影では乏血性であった。EUS-FNAを施行し、病理所見では厚い膠原線維束からなる間質に小型の腺房細胞を認め、核異型や核分裂像、壊死は認めなかった。FNA検体量は十分であったが、FNA検体のみでは全体像の推定は難しく、良悪性の判断は困難であった。外科と協議し、経鼻膵管ドレナージ術(ENPD)を行った上で核出術を行い、術中迅速診断を行う方針となった。
膵尾部腫瘤に対して核出術を施行したが、術中迅速診断では腺房細胞に類似した細胞が充実性胞巣を形成し増殖する像を認め、軽度の核異型を認めたことから腺房細胞癌や神経内分泌腫瘍の可能性も否定できなかったため、最終的にD2郭清を伴う膵体尾部切除術を施行した。切除標本での最終病理診断は膵過誤腫であった。
【検討していただきたい点】本症例では画像検査では術前診断が困難であり、病理検査ではFNA検体及び術中迅速検査共に良悪性の診断が困難であった。術前の画像所見やFNA検体により良悪性診断や過誤腫の推定が可能であったかご検討いただきたい。
