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O-3 膵癌術後9年以上経過して残膵再発を来たし,断端再発か異時性発癌かの鑑別に苦慮した一例

○小林 圭1)、澤田 雄1)、髙瀨 宙希2)、山中 正二2)、藤井 誠志2)、三宅 謙太郎1)、藪下 泰宏1)、本間 祐樹1)、松山 隆生1)、遠藤 格1)
1)横浜市立大学 消化器・腫瘍外科学、2)横浜市立大学 病理診断科・病理部


【症例】69歳女性
 2014年に局所進行膵体部癌に対して放射線化学療法後に膵体尾部切除術、D2郭清を施行した。術後11日目に退院し、術後の病理結果は中分化型腺癌、pTS1, pT1, pS(-), pRP(-), pPCM(+: High-grade PanIN), pDPM(-), pN0, sci, ly0, v0, ne0, pStageI(膵癌取扱い規約第6版)の診断で、術後の戻し永久標本の膵切除断端に上皮内癌を認めた。追加の残膵切除は施行せずに術後補助化学療法後に経過観察の方針とした。術後は綿密なフォローアップを行っていたが、9年以上が経過した際に、腫瘍マーカーの上昇と残膵に腫瘤を認め、生検の結果、残膵癌と診断した。CT画像上では膵切除断端と腫瘤は離れており、また初回手術から9年以上経過していることからも、異時性に発症した残膵癌と考え、術前化学療法施行後に残膵全摘術を施行した。術後の病理結果では膵断端から上皮内癌が浸潤癌である腫瘤まで連続しており、既往検体と類似の組織型を示したことから膵癌初回手術後の断端再発と診断した。
【討論内容】本症例は術後9年以上経過して残膵再発を来たし、断端再発か異時性発癌かの鑑別に苦慮した一例である。術前の画像から、再発診断や断端再発の鑑別が可能かについて検討できれば幸いです。