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症例は70歳台女性。膵嚢胞性病変に対して経過観察中。X年1月MRIにて肝嚢胞の1つが著しく増大し、嚢胞内出血と考えられる液面形成を認めた。また嚢胞外肝実質へと突出する充実性成分の出現を認めた。造影CTでは充実部には漸増性の造影効果を認め、内部に不整な腫瘍血管の発達、辺縁に厚い被膜様構造を認めた。腹部症状が強く肝表に腹水を認めたため、切迫破裂の状態と考え緊急動脈塞栓術を施行した。充実性成分の存在から悪性腫瘍を念頭においた根治治療として肝右葉切除を施行、肝原発Spindle cell sarcomaと診断した。術後約1か月に施行されたCTにて多発肝転移・骨転移の出現を認めた。後方視的には、X-4年11月MRIでは同部に病変は認められず、X-3年11月MRI時に嚢胞(径8mm)が出現、X-2年5月のMRIでは嚢胞の増大(径10mm)および下縁にわずかな隔壁様構造を認めた。X-1年6月のMRIでは嚢胞はさらに増大(径47mm)し被膜の顕在化を認めたが、充実性成分は認めなかった。ある時点を境に急速な増大を認めており良性または低悪性度の嚢胞性腫瘍が悪性転化を来した可能性が高いと考えられるが、単純性肝嚢胞に出血や炎症を伴う複雑性肝嚢胞では経過で増大や被膜の描出が認められることがあり、腫瘍性病変の可能性を指摘する事は困難であった。画像所見上は粘液性嚢胞性腫瘍を背景とした脱分化病変が疑われるが、病理組織学的に起源等に言及出来る所見があるか、ご意見を頂きたい。
O-4 画像的に特異な経過を示した肝原発Spindle cell sarcomaの1例
○吉澤 恵理子1)、山田 哲1)、福澤 拓哉1)、一戸 記人1)、雄山 一樹1)、鈴木 健史1)、倉石 康弘2)、野竹 剛3)、山下 名帆4)、藤永 康成1)
1)信州大学医学部附属病院 放射線科、2)信州大学医学部附属病院 消化器内科、3)信州大学医学部附属病院 消化器外科、4)信州大学医学部附属病院 病理診断科
症例は70歳台女性。膵嚢胞性病変に対して経過観察中。X年1月MRIにて肝嚢胞の1つが著しく増大し、嚢胞内出血と考えられる液面形成を認めた。また嚢胞外肝実質へと突出する充実性成分の出現を認めた。造影CTでは充実部には漸増性の造影効果を認め、内部に不整な腫瘍血管の発達、辺縁に厚い被膜様構造を認めた。腹部症状が強く肝表に腹水を認めたため、切迫破裂の状態と考え緊急動脈塞栓術を施行した。充実性成分の存在から悪性腫瘍を念頭においた根治治療として肝右葉切除を施行、肝原発Spindle cell sarcomaと診断した。術後約1か月に施行されたCTにて多発肝転移・骨転移の出現を認めた。後方視的には、X-4年11月MRIでは同部に病変は認められず、X-3年11月MRI時に嚢胞(径8mm)が出現、X-2年5月のMRIでは嚢胞の増大(径10mm)および下縁にわずかな隔壁様構造を認めた。X-1年6月のMRIでは嚢胞はさらに増大(径47mm)し被膜の顕在化を認めたが、充実性成分は認めなかった。ある時点を境に急速な増大を認めており良性または低悪性度の嚢胞性腫瘍が悪性転化を来した可能性が高いと考えられるが、単純性肝嚢胞に出血や炎症を伴う複雑性肝嚢胞では経過で増大や被膜の描出が認められることがあり、腫瘍性病変の可能性を指摘する事は困難であった。画像所見上は粘液性嚢胞性腫瘍を背景とした脱分化病変が疑われるが、病理組織学的に起源等に言及出来る所見があるか、ご意見を頂きたい。
