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【症例】42歳男性。右季肋部痛を主訴に近医受診。単純CTで肝左葉に118×80mmの腫瘤を指摘され当科紹介。当院で施行した造影CTでは辺縁不整かつ低吸収であることから肝内胆管癌を疑った。さらに白血球 31490µL, G-CSF 888pg/mlと高値を示し、PET-CTで骨髄にびまん性の集積を認めることからG-CSF産生肝内胆管癌の診断で手術を施行した。
【画像所見】造影CT:内部に低吸収域を伴い門脈相で軽度造影効果のある辺縁不整な肝腫瘤を認めた。EOB-MRI:T1WIにて低信号、T2WIで淡い高信号を認めた。PET-CT:肝腫瘤と肝門部リンパ節に集積を認めた。体幹骨と脾臓にもびまん性の集積を認めた。
【手術と経過】開腹すると、腫瘍は肝左葉を主座とし肝十二指腸間膜を圧排していた。遠隔転移、胆管や肝動脈への浸潤はなく、肝左葉切除を施行した。術後、白血球は正常範囲内に、血清G-CSFも低下を認め臨床的にもG-CSF産生腫瘍に矛盾しないと考えた。
【病理所見】線維芽細胞の増生と好中球や組織球の高度な浸潤を認め、炎症性筋線維芽細胞腫瘍の診断に至った。免疫染色でも G-CSFは陽性であった。
【考察】炎症性筋線維芽細胞腫瘍は稀な疾患で様々な場所に発生しうるが、中でも肝臓の報告は少ない。場所によって画像所見も異なるが、肝臓では造影CTにて動脈相で高吸収、後期相でwashoutされる例が多い。またMRIはT2WIで高信号が多い。本症例は、G-CSF産生肝炎症性筋線維芽細胞腫瘍であり、稀であるため報告する。
O-5 急速な増大を呈したG-CSF産生の肝炎症性筋線維芽細胞腫瘍の1例
○岩崎 里衣1)、井上 享悦2)、相澤 栄俊2)、遠藤 裕平2)、渡部 文昭2)、野田 弘志2)、力山 敏樹2)
1)自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科、2)自治医科大学附属さいたま医療センター 消化器外科
【症例】42歳男性。右季肋部痛を主訴に近医受診。単純CTで肝左葉に118×80mmの腫瘤を指摘され当科紹介。当院で施行した造影CTでは辺縁不整かつ低吸収であることから肝内胆管癌を疑った。さらに白血球 31490µL, G-CSF 888pg/mlと高値を示し、PET-CTで骨髄にびまん性の集積を認めることからG-CSF産生肝内胆管癌の診断で手術を施行した。
【画像所見】造影CT:内部に低吸収域を伴い門脈相で軽度造影効果のある辺縁不整な肝腫瘤を認めた。EOB-MRI:T1WIにて低信号、T2WIで淡い高信号を認めた。PET-CT:肝腫瘤と肝門部リンパ節に集積を認めた。体幹骨と脾臓にもびまん性の集積を認めた。
【手術と経過】開腹すると、腫瘍は肝左葉を主座とし肝十二指腸間膜を圧排していた。遠隔転移、胆管や肝動脈への浸潤はなく、肝左葉切除を施行した。術後、白血球は正常範囲内に、血清G-CSFも低下を認め臨床的にもG-CSF産生腫瘍に矛盾しないと考えた。
【病理所見】線維芽細胞の増生と好中球や組織球の高度な浸潤を認め、炎症性筋線維芽細胞腫瘍の診断に至った。免疫染色でも G-CSFは陽性であった。
【考察】炎症性筋線維芽細胞腫瘍は稀な疾患で様々な場所に発生しうるが、中でも肝臓の報告は少ない。場所によって画像所見も異なるが、肝臓では造影CTにて動脈相で高吸収、後期相でwashoutされる例が多い。またMRIはT2WIで高信号が多い。本症例は、G-CSF産生肝炎症性筋線維芽細胞腫瘍であり、稀であるため報告する。
