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症例は84歳男性。2018年に施行された直腸癌術後のフォロー中、多発肝腫瘤を指摘され、2022年11月に精査加療目的で当院を紹介受診した。
血液検査では各種腫瘍マーカーの上昇を認めなかった。腹部超音波検査では肝両葉に境界不明瞭、輪郭不整、内部不均一な低エコー腫瘤を認めた。ソナゾイド®造影では早期血管相で濃染し、Kupffer相でのwash outを認めた。造影CT検査ではS3に39mm、S7に44mmのわずかに遅延性濃染を呈する乏血性腫瘤を認め、血管貫通像および被膜陥凹を伴っていた。MRIではT1強調像で低信号、T2強調像および拡散強調像でわずかに高信号を認めた。悪性リンパ腫や細胆管癌、転移性肝腫瘍を鑑別に挙げ、S7腫瘤より経皮的肝腫瘍生検を施行したが、炎症細胞浸潤と線維化を認めるのみで炎症性変化が疑われた。しかし、その後も経時的に増大しS7病変に対してさらに2回の腫瘍生検を行ったが確定診断に至らなかった。2023年11月に撮像した造影CT検査ではS6辺縁にも新規病変の出現を認めたため、肝S6部分切除術を行い、同時に術中にS3腫瘍生検を施行した。
病理組織学的診断では類洞に沿って増生する類上皮様細胞や紡錘形細胞、細胞質内に空胞を伴う腫瘍細胞を認め、いずれもCD31およびCD34陽性かつ上皮性マーカーが陰性であったことから、類上皮性血管内皮腫と診断した。
初診時の画像および初回の生検で診断が可能であったかご検討いただきたい。
O-6 診断に苦慮した類上皮性血管内皮腫の1例
○大沢 一希1)、伊藤 凌1)、岩野 光佑1)、中野 重治1)、東 俊二郎1)、森田 敏広1)、田浦 康二朗2)、八隅 秀二郎1)
1)北野病院 消化器内科、2)北野病院 消化器外科
症例は84歳男性。2018年に施行された直腸癌術後のフォロー中、多発肝腫瘤を指摘され、2022年11月に精査加療目的で当院を紹介受診した。
血液検査では各種腫瘍マーカーの上昇を認めなかった。腹部超音波検査では肝両葉に境界不明瞭、輪郭不整、内部不均一な低エコー腫瘤を認めた。ソナゾイド®造影では早期血管相で濃染し、Kupffer相でのwash outを認めた。造影CT検査ではS3に39mm、S7に44mmのわずかに遅延性濃染を呈する乏血性腫瘤を認め、血管貫通像および被膜陥凹を伴っていた。MRIではT1強調像で低信号、T2強調像および拡散強調像でわずかに高信号を認めた。悪性リンパ腫や細胆管癌、転移性肝腫瘍を鑑別に挙げ、S7腫瘤より経皮的肝腫瘍生検を施行したが、炎症細胞浸潤と線維化を認めるのみで炎症性変化が疑われた。しかし、その後も経時的に増大しS7病変に対してさらに2回の腫瘍生検を行ったが確定診断に至らなかった。2023年11月に撮像した造影CT検査ではS6辺縁にも新規病変の出現を認めたため、肝S6部分切除術を行い、同時に術中にS3腫瘍生検を施行した。
病理組織学的診断では類洞に沿って増生する類上皮様細胞や紡錘形細胞、細胞質内に空胞を伴う腫瘍細胞を認め、いずれもCD31およびCD34陽性かつ上皮性マーカーが陰性であったことから、類上皮性血管内皮腫と診断した。
初診時の画像および初回の生検で診断が可能であったかご検討いただきたい。
