室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。
症例は56歳女性。検診で肝障害と胆管拡張を指摘され前医を受診した。造影CTでは右門脈根部近傍に10mm程度の境界不明瞭・輪郭不整な淡い乏血性腫瘤を認め、同部位より末梢の後区域胆管の拡張を認めた。腫瘤と右門脈、右肝静脈との接触を認めた。MRIではT1/T2WIで腫瘤は認識されず、DWIでも拡散制限は認めなかった。肝内胆管癌が疑われ精査目的に当院紹介となった。EUSでは同部位に境界不明瞭・輪郭不整、hypoechoicな腫瘤を認めた。同腫瘤に対してEUS-TAを施行し異型に乏しい上皮細胞集塊を認め、腫瘍性変化は認めなかった。ERCでは後区域胆管の根部に急峻で限局的な固い狭窄を認め、上流の胆管は拡張していた。狭窄部からの胆管生検、胆汁細胞診では悪性所見は認めなかった。画像・組織検査を総合的に判断し、肝内胆管癌 MF type (cT2N0M0)の可能性が否定できず肝右葉切除を施行した。手術検体では、後区域胆管、後区域胆管に合流するB5胆管に著明な壁肥厚と胆管壁の慢性炎症所見を有する硬化性胆管炎像を認めた。硬化性胆管炎領域の胆管に接して10mm大の結節を認め、結節は硝子化線維性被膜に覆われ内部は比較的疎な膠原繊維性間質に拡張した毛細血管が散見された。エラスチカ染色では病変内部に弾性繊維の介在を認めた。以上より、病理診断としては硬化性血管腫を第一に疑った。本症例の病理学的診断、また画像的に術前に硬化性血管腫を疑う事が可能であったかご討議いただきたい。
O-9 肝内胆管癌を疑い、肝右葉切除を施行した肝内腫瘤の1例
○八木 伸1)、肱岡 範1)、東江 大樹1)、岡本 浩平1)、山重 大樹1)、福田 壮馬1)、永塩 美邦1)、江﨑 稔2)、奥坂 拓志1)、平岡 伸介3)
1)国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科、2)国立がん研究センター中央病院 肝胆膵外科、3)国立がん研究センター中央病院 病理診断科
症例は56歳女性。検診で肝障害と胆管拡張を指摘され前医を受診した。造影CTでは右門脈根部近傍に10mm程度の境界不明瞭・輪郭不整な淡い乏血性腫瘤を認め、同部位より末梢の後区域胆管の拡張を認めた。腫瘤と右門脈、右肝静脈との接触を認めた。MRIではT1/T2WIで腫瘤は認識されず、DWIでも拡散制限は認めなかった。肝内胆管癌が疑われ精査目的に当院紹介となった。EUSでは同部位に境界不明瞭・輪郭不整、hypoechoicな腫瘤を認めた。同腫瘤に対してEUS-TAを施行し異型に乏しい上皮細胞集塊を認め、腫瘍性変化は認めなかった。ERCでは後区域胆管の根部に急峻で限局的な固い狭窄を認め、上流の胆管は拡張していた。狭窄部からの胆管生検、胆汁細胞診では悪性所見は認めなかった。画像・組織検査を総合的に判断し、肝内胆管癌 MF type (cT2N0M0)の可能性が否定できず肝右葉切除を施行した。手術検体では、後区域胆管、後区域胆管に合流するB5胆管に著明な壁肥厚と胆管壁の慢性炎症所見を有する硬化性胆管炎像を認めた。硬化性胆管炎領域の胆管に接して10mm大の結節を認め、結節は硝子化線維性被膜に覆われ内部は比較的疎な膠原繊維性間質に拡張した毛細血管が散見された。エラスチカ染色では病変内部に弾性繊維の介在を認めた。以上より、病理診断としては硬化性血管腫を第一に疑った。本症例の病理学的診断、また画像的に術前に硬化性血管腫を疑う事が可能であったかご討議いただきたい。
