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【症例】64歳、男性。
【現病歴】6年前より膵体部に6mmのIPMNを認め健診にてフォローされていた。今回、腹部エコーで膵体部嚢胞に加え体尾部の主膵管拡張(6.2mm)を認め、当科へ紹介となった。MRCPおよび超音波内視鏡検査(EUS)では、体部の主膵管・分枝膵管の拡張と膵実質の萎縮を認めたが、手術は希望されなかった。3ヶ月後、再度EUSを行ったところ、主膵管拡張の増悪に加え、体部の主膵管に連続する約20mmの低エコー腫瘤を認めた。連続膵液細胞診3回採取も異型細胞までの所見であったが、画像上膵癌の合併を疑い、膵体尾部切除術を企図した。術中迅速病理検査にて断端膵管に異型上皮を認めたため、膵全摘とした。病理組織では、膵頚部から尾部まで連続する混合型IPMAおよびIPMCの像が見られ、膵体部には長径4cmの粘液癌を認めた。さらに頭部にも同様の粘液癌を認めStageⅡBと診断された。これらの連続はなく、頭部病変の周囲には粘液癌リンパ管侵襲像を多数認めたことから、リンパ行性に転移したと考えた。術後4ヶ月で多発肺転移を認め化学療法を開始、現在継続中である。
【考察/検討項目】膵体尾部のIPMCが疑われ手術を行ったが、想定より広範囲の粘液癌であり、頭部にも膵内転移を認めた症例であった。術前検査にて膵頭部病変は事前に診断可能であったかご討議いただきたい。また、IPMN由来粘液癌と考えているが、病理組織学的にご検討いただきたい。
P-10 術前診断が困難であった膵内転移を伴ったIPMN由来の粘液癌の一例
○早川 宇宙1)、岩崎 栄典1)、川崎 慎太郎1)、津崎 盾哉2)、林 秀幸3)、田中 真之4)、北郷 実4)、原 健祐5)、眞杉 洋平5)、金井 隆典1)
1)慶應義塾大学医学部 内科学教室(消化器)、2)慶應義塾大学医学部 放射線科学教室、3)慶應義塾大学医学部 腫瘍センター、4)慶應義塾大学医学部 外科学教室(一般・消化器)、5)慶應義塾大学医学部 病理学教室
【症例】64歳、男性。
【現病歴】6年前より膵体部に6mmのIPMNを認め健診にてフォローされていた。今回、腹部エコーで膵体部嚢胞に加え体尾部の主膵管拡張(6.2mm)を認め、当科へ紹介となった。MRCPおよび超音波内視鏡検査(EUS)では、体部の主膵管・分枝膵管の拡張と膵実質の萎縮を認めたが、手術は希望されなかった。3ヶ月後、再度EUSを行ったところ、主膵管拡張の増悪に加え、体部の主膵管に連続する約20mmの低エコー腫瘤を認めた。連続膵液細胞診3回採取も異型細胞までの所見であったが、画像上膵癌の合併を疑い、膵体尾部切除術を企図した。術中迅速病理検査にて断端膵管に異型上皮を認めたため、膵全摘とした。病理組織では、膵頚部から尾部まで連続する混合型IPMAおよびIPMCの像が見られ、膵体部には長径4cmの粘液癌を認めた。さらに頭部にも同様の粘液癌を認めStageⅡBと診断された。これらの連続はなく、頭部病変の周囲には粘液癌リンパ管侵襲像を多数認めたことから、リンパ行性に転移したと考えた。術後4ヶ月で多発肺転移を認め化学療法を開始、現在継続中である。
【考察/検討項目】膵体尾部のIPMCが疑われ手術を行ったが、想定より広範囲の粘液癌であり、頭部にも膵内転移を認めた症例であった。術前検査にて膵頭部病変は事前に診断可能であったかご討議いただきたい。また、IPMN由来粘液癌と考えているが、病理組織学的にご検討いただきたい。