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P-11 血糖コントロール不良を契機に発見された,膵体部分枝型IPMCと主膵管内High-grade PanINが併存した1例

○草加 裕康1)、浅原 新吾1)、西澤 秀光1)、小玉 祐1)、木村 元1)、外山 雄三1)、溝上 裕士1)、飯田 拓2)、堀口 慎一郎3)、長浜 隆司1)
1)新東京病院 消化器内科、2)新東京病院 消化器外科、3)がん・感染症センター 都立駒込病院 病理科


 症例は80歳男性。血糖コントロール不良(HbA1c 6.5→12.2%)の精査目的に腹部超音波検査を施行したところ、主膵管拡張及び分葉状の嚢胞を認めた。MRCPでは主膵管拡張及び膵体部に主膵管と交通する長径5㎝大の多房性嚢胞を認めた。造影CTでは多房性嚢胞内に造影効果のある結節を認めた。EUSでは膵体部の多房性嚢胞内に最大8mmの壁在結節が散見され、ソナゾイド造影にて早期から結節は造影された。ERCP時、乳頭は開大しており、粘液の排出を認めた。ERPにて主膵管内及び嚢胞内に粘液による透亮像を認め、主膵管内と嚢胞内から膵液をそれぞれ採取、その後ENPDから連続膵液細胞診を施行し、核形不整な小型異型円柱上皮を検出したがclassIIIまでであった。各種画像検査からIPMCを否定できず、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。術後病理診断では、膵体部に2.0×4.0cmの多房性嚢胞を認め、嚢胞内部の上皮は類円形腫大核と粘液豊富な細胞質をもつ腫瘍細胞が間質軸を伴って乳頭状や腺房状に増殖していた。部分的に核腫大や極性の乱れが目立つところがあるものの浸潤傾向はなく、IPMC non-invasiveと診断した。また、主膵管内腔に平坦状、低乳頭状のPanINを認め、膵尾部主膵管内にはHigh grade PanINの広がりも伴っていた。IPMCとHigh grade PanINの分布が異なっているため、一連の病変か別病変か関係性及び発育進展形式に関して討論頂きたい。