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【症例】60歳代、女性。X-5年に左乳癌に対する手術と術後放射線治療を受け再発なく経過中、X-1年定期検査の腹部超音波検査で膵頭部腫瘤を指摘され、精査目的に当院紹介となった。病変部は単純CTで淡い高吸収域として認識され、造影すると動脈相から静脈相にかけ遅延濃染を呈する22x12mm大の境界明瞭な腫瘍として描出された。超音波内視鏡検査(EUS)は、膵頭部腫瘍全体に音響陰影を認め内部評価は困難であった。EUS下穿刺吸引法(EUS-FNA)は、腫瘍表面が非常に硬く十分量の組織を採取する事ができなかった。細胞診では小型で均一な円形核を有する腫瘍細胞を少量認めたものの、組織診では腫瘍成分を指摘できず確定診断に至らなかった。既往乳癌とは細胞形態が異なり、乳癌膵転移は否定的であった。膵充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)もしくは神経内分泌腫瘍(NEN)と診断し、膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織学的所見では、硝子化した豊富な間質を背景に、腫瘍細胞がリボン状・索状・偽腺管様に配列し、好酸性の細胞質と核クロマチンが粗顆粒状(salt and pepper状)を呈した。免疫組織染色では、Synaptophysin、Chromogranin Aが陽性、Ki-67標識率はhot spotで4.7%、核分裂像は0/2mm2であった。以上より、NET G2の診断となった。術前CT検査で遅延濃染、EUSで腫瘍内部全体に音響陰影を伴うなどNETとして非典型的な画像所見を呈し、石灰化により十分な生検ができず術前診断に難渋する症例であった。
P-14 非典型的な硝子化の所見により診断に難渋した膵神経内分泌腫瘍の1例
○室井 論大1)、松井 あや1)、白鳥 翔也2)、杉浦 諒2)、小田 総一郎2)、頼永 聡子3)、三橋 智子3)、平野 聡1)
1)北海道大学医学研究院 消化器外科学教室Ⅱ、2)北海道大学病院 消化器内科、3)北海道大学病院 病理診断科
【症例】60歳代、女性。X-5年に左乳癌に対する手術と術後放射線治療を受け再発なく経過中、X-1年定期検査の腹部超音波検査で膵頭部腫瘤を指摘され、精査目的に当院紹介となった。病変部は単純CTで淡い高吸収域として認識され、造影すると動脈相から静脈相にかけ遅延濃染を呈する22x12mm大の境界明瞭な腫瘍として描出された。超音波内視鏡検査(EUS)は、膵頭部腫瘍全体に音響陰影を認め内部評価は困難であった。EUS下穿刺吸引法(EUS-FNA)は、腫瘍表面が非常に硬く十分量の組織を採取する事ができなかった。細胞診では小型で均一な円形核を有する腫瘍細胞を少量認めたものの、組織診では腫瘍成分を指摘できず確定診断に至らなかった。既往乳癌とは細胞形態が異なり、乳癌膵転移は否定的であった。膵充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)もしくは神経内分泌腫瘍(NEN)と診断し、膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織学的所見では、硝子化した豊富な間質を背景に、腫瘍細胞がリボン状・索状・偽腺管様に配列し、好酸性の細胞質と核クロマチンが粗顆粒状(salt and pepper状)を呈した。免疫組織染色では、Synaptophysin、Chromogranin Aが陽性、Ki-67標識率はhot spotで4.7%、核分裂像は0/2mm2であった。以上より、NET G2の診断となった。術前CT検査で遅延濃染、EUSで腫瘍内部全体に音響陰影を伴うなどNETとして非典型的な画像所見を呈し、石灰化により十分な生検ができず術前診断に難渋する症例であった。