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症例は60代男性。1週間以上持続する40℃の発熱で救急受診した際、高度の炎症反応上昇を認めた。造影CTでは左腹部に10cm台の不整形で内部に石灰化や壊死を伴う腫瘤あり、腹部大動脈や左腎静脈、門脈への浸潤も指摘された。また肝臓にも辺縁に造影効果を認める腫瘤が多発していた。後腹膜腫瘍および内部壊死に伴う膿瘍形成、多発肝転移の診断で入院加療となった。絶食、補液、抗菌薬による保存的加療を行い、1週間後より成分栄養剤開始したが、発熱が再燃する状況を繰り返すため、消化管との交通が疑われた。
腫瘍の質的診断も試みたが、血管浸潤強く体表からの生検は困難であった。入院15日目に肝転移巣より生検施行したが、診断つかず、免疫染色でも特記すべき所見はなかった。
長期に抗菌薬加療継続後も状態の改善なく、外科にドレナージなどの手術加療を依頼したが、腫瘍の転移や全身状態から、根治手術ではなく胃空腸バイパス術を入院50日目に施行した。術後3日目より食事再開したが、11日目に大量の黒色嘔吐後に血圧低下し、逝去された。
剖検により、膵NET、G2の診断となり、十二指腸下行脚の浸潤部からの出血が直接死因と診断された。
本症例は膵NETの典型的画像所見に乏しく、生前の診断の可否についての検討が必要であり、また本邦の十二指腸浸潤の報告も少ないため、報告することとした。
P-15 十二指腸浸潤からの出血により致死的な経過を辿り、剖検により膵神経内分泌腫瘍と診断された一例
○古田 祐樹、香川 幸一
けいゆう病院 内科
症例は60代男性。1週間以上持続する40℃の発熱で救急受診した際、高度の炎症反応上昇を認めた。造影CTでは左腹部に10cm台の不整形で内部に石灰化や壊死を伴う腫瘤あり、腹部大動脈や左腎静脈、門脈への浸潤も指摘された。また肝臓にも辺縁に造影効果を認める腫瘤が多発していた。後腹膜腫瘍および内部壊死に伴う膿瘍形成、多発肝転移の診断で入院加療となった。絶食、補液、抗菌薬による保存的加療を行い、1週間後より成分栄養剤開始したが、発熱が再燃する状況を繰り返すため、消化管との交通が疑われた。
腫瘍の質的診断も試みたが、血管浸潤強く体表からの生検は困難であった。入院15日目に肝転移巣より生検施行したが、診断つかず、免疫染色でも特記すべき所見はなかった。
長期に抗菌薬加療継続後も状態の改善なく、外科にドレナージなどの手術加療を依頼したが、腫瘍の転移や全身状態から、根治手術ではなく胃空腸バイパス術を入院50日目に施行した。術後3日目より食事再開したが、11日目に大量の黒色嘔吐後に血圧低下し、逝去された。
剖検により、膵NET、G2の診断となり、十二指腸下行脚の浸潤部からの出血が直接死因と診断された。
本症例は膵NETの典型的画像所見に乏しく、生前の診断の可否についての検討が必要であり、また本邦の十二指腸浸潤の報告も少ないため、報告することとした。