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症例は59歳男性。約7年前に膵酵素上昇の精査目的に施行したEUSで、膵頭部に7 mm大の類円形低エコー腫瘤を認めた。造影CT検査・MRI検査では腫瘤の指摘は困難であった。腫瘤は造影EUSで淡く造影効果を示し、膵神経内分泌腫瘍の疑いと診断したが、小病変のため経過観察の方針とした。5年半後のMRIでは、膵頭部腫瘤は指摘困難も、膵体部背側にT2低信号で拡散低下を伴う10㎜大の類円形腫瘤を認めた。この際の造影CT検査では、膵頭部腫瘍はわずかに指摘可能で、膵体部背側の新規腫瘤も濃染像を示した。一方で、EUSでは膵頭部腫瘤は著変ないものの、膵背側の腫瘤は指摘困難のためEUS-FNA施行せず経過観察とした。しかし、約1年後のMRIおよび単純CT検査で膵体部背側の腫瘤は増大傾向であった。この時のEUSでは不変であった膵頭部腫瘤に加えて、十二指腸水平脚経由で膵体部背側の14mm大の類円形腫瘤を指摘することができた。両病変に対してEUS-FNAを施行し、いずれもNEN G1 (Ki67LI 2%)の組織診断であった。膵体部背側の病変はリンパ節転移と考え、cT1N1M0のpNENと診断し、膵頭十二指腸切除術を施行した。最終病理診断はNEN G1の診断で、膵体部背側の腫瘤はリンパ節転移の診断で、T1bN1M0の pStage IIBであった。術後6か月無再発生存中である。
経過観察中にリンパ節転移を生じた10㎜未満の小型pNEN G1を経験した。10㎜未満pNENの長期経過と診療方針を検討する上で貴重と考え報告する。
P-16 長期経過観察中にリンパ節転移をきたした10㎜未満小型pNENの1切除例
○岡野 春香1)、越田 真介1)、菅野 良秀1)、小川 貴央1)、楠瀬 寛顕1)、酒井 利隆1)、與那嶺 圭輔1)、宮本 和明1)、野田 裕2)、伊藤 啓1)
1)仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化管・肝胆膵内科、2)仙台市医療センター 仙台オープン病院 健診センター
症例は59歳男性。約7年前に膵酵素上昇の精査目的に施行したEUSで、膵頭部に7 mm大の類円形低エコー腫瘤を認めた。造影CT検査・MRI検査では腫瘤の指摘は困難であった。腫瘤は造影EUSで淡く造影効果を示し、膵神経内分泌腫瘍の疑いと診断したが、小病変のため経過観察の方針とした。5年半後のMRIでは、膵頭部腫瘤は指摘困難も、膵体部背側にT2低信号で拡散低下を伴う10㎜大の類円形腫瘤を認めた。この際の造影CT検査では、膵頭部腫瘍はわずかに指摘可能で、膵体部背側の新規腫瘤も濃染像を示した。一方で、EUSでは膵頭部腫瘤は著変ないものの、膵背側の腫瘤は指摘困難のためEUS-FNA施行せず経過観察とした。しかし、約1年後のMRIおよび単純CT検査で膵体部背側の腫瘤は増大傾向であった。この時のEUSでは不変であった膵頭部腫瘤に加えて、十二指腸水平脚経由で膵体部背側の14mm大の類円形腫瘤を指摘することができた。両病変に対してEUS-FNAを施行し、いずれもNEN G1 (Ki67LI 2%)の組織診断であった。膵体部背側の病変はリンパ節転移と考え、cT1N1M0のpNENと診断し、膵頭十二指腸切除術を施行した。最終病理診断はNEN G1の診断で、膵体部背側の腫瘤はリンパ節転移の診断で、T1bN1M0の pStage IIBであった。術後6か月無再発生存中である。
経過観察中にリンパ節転移を生じた10㎜未満の小型pNEN G1を経験した。10㎜未満pNENの長期経過と診療方針を検討する上で貴重と考え報告する。