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P-17 Groove膵炎/膵癌との鑑別が問題になった膵腫瘤の1切除例

○久居 弘幸1)、櫻井 環1)、小柴 裕1)、飴田 咲貴1)、横山 涼太1)、田中 栄一2)、行部 洋2)、長谷川 匡3)
1)伊達赤十字病院 消化器科、2)伊達赤十字病院 外科、3)伊達赤十字病院 病理部


 症例は60歳代、男性。50歳代 胆摘、60歳代 脳梗塞。療養型介護施設に入所中、X年10月下旬に急性胆管炎で前医入院、精査加療目的に12月中旬に転院となった。
 CTでは上十二指腸角から乳頭部直上、Groove領域にかけて軽度増強効果を示す2cmの境界不明瞭な領域を認め、十二指腸内腔の狭窄を呈し、膵内胆管の狭窄とその上流の胆管拡張、結石を認めた。MRCPでは膵内胆管の平滑な狭窄とその上流の胆管拡張、胆管結石と主膵管拡張を認めた。CTでの境界不明瞭な領域はT2WIで低信号、DWIで不均一な高信号を呈した。EGDでは上十二指腸角付近の狭窄あるも粘膜面に異常なく、EUSでは膵頭部に十二指腸筋層と連続する境界不明瞭で内部不均一な2cmの低エコー腫瘤を認め、造影EUSでは遅延性濃染を呈した。
 精査中に急性胆管炎 (中等症)を来し、ERCPは十二指腸狭窄のためスコープが通過せず不可能であり、B3よりPTBDを施行した。胆管炎改善後に膵頭部腫瘤に対しEUS-FNAを施行したが、悪性所見は認めなかった。
 X+1年1月に全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理では膵頭部に黄白色結節があり、線維化、神経束の肥厚・増生が見られ、免疫組織学的には正常神経束と同様の所見を示し、Schwann 細胞がS-100 蛋白陽性、神経線維にはneurofilament が陽性を示し、狭窄部胆管にも一部同様の所見を認め、断端神経腫と診断した。