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P-18 SRS陽性で早期濃染を伴う充実性腫瘤として描出された膵漿液性嚢胞腺腫の1切除例

○古川 潤一1)、佐々木 民人1)、齊藤 裕平1)、芹川 正浩1)、平野 ななみ1)、網岡 祐生1)、水野 純一1)、濱岡 道則2)、眞次 康弘2)、西阪 隆3)
1)県立広島病院 消化器内科、2)県立広島病院 消化器外科、3)県立広島病院 病理診断科


 症例は40歳代の男性、健康診断で指摘された肝腫瘤(血管脂肪腫)の精査で施行された造影CTで、膵頭部に早期濃染を伴った境界明瞭な18㎜大の腫瘤性病変を指摘され、精査目的に当院紹介受診された。既往歴に特記事項はなく、飲酒は機会飲酒、10本×13年の喫煙歴がある。家族歴に膵疾患は認めなかった。MRIで、腫瘤はT1強調画像で低信号、T2強調画像で軽度高信号に描出されたが、有意な拡散障害は認めなかった。EUSでは、病変は均一な高エコー腫瘤として描出され、被膜様構造も伴っていた。ソマトスタチン受容体シンチグラフィー(SRS)では、腫瘤に一致してペンテトレオチドの異常集積を認めた。25G針を用いたEUS-FNAでは、異形の乏しい組織が採取され腫瘍性病変の診断には至らなかったが、穿刺による出血が高度であったため再穿刺は行わなかった。画像検査から膵神経内分泌腫瘍の可能性が高いと判断し、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本の病理組織では淡明な細胞質を有する立方状あるいは多角形細胞が比較的均一な小型腺管を形成して増殖する腫瘍組織を認め、中心部に星芒状の線維化巣を認めており、漿液性嚢胞腺腫(Microcystic Type)と診断された。
 研究会では、①腫瘤がT2強調画像で高信号を示さなかった理由、②EUSで腫瘤が均一な高エコーを呈した理由、③SRSが陽性となった理由、についてご討議お願いしたいと考えている。