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症例は88歳男性。X年3月腹痛と発熱を主訴に受診した造影CTで遠位胆管に高吸収域を認め、総胆管結石性胆管炎疑いで緊急EBS留置された。抗血栓薬を内服しており待機的採石の予定であったが、X年4月に再度胆管炎で入院。炎症改善後のERCPでBismuthⅡ型の肝門部狭窄が確認され、採石時に血腫を認めたことから、肝門部胆管癌による胆道出血と診断した。局所生検はAdenocarcinomaであった。エコーでは左肝管内腔を主座とした32×15×13mmの低エコー腫瘍が指摘され、肝実質への浸潤は描出できなかった。MRCPでは肝門部胆管内腔にT2WI低信号、T1WI低信号、DWI高信号を示す腫瘍性病変があり、再検したDynamic CTで同病変は早期から造影される腫瘍として描出されたが、wash outはなかった。左門脈浸潤が疑われ、ICG Krem 0.12,15分値10.4%の肝予備能から、X年5月に左葉尾状切除・肝外胆管切除・胆道再建術を施行した。術中の肉眼所見は球状の境界明瞭な白色充実性腫瘍であり、浸潤傾向に乏しい印象であった。摘出標本の病理学的組織検査では胆管内の腫瘍は肝内へ連続し、免疫染色ではHepatocyte(+)AFP(+)CK7(-)CK20(-)となり、胆管周囲の幹細胞に生じた肝細胞癌が低分化となり胆管内に穿破し塞栓状になったと考えられた。胆管上皮の異型は認めなかった。最終診断は肝細胞癌 pT1bN0M0 stageIBで脈管侵襲はなかった。
本症例において術前に胆管に露出した肝細胞癌と診断できる根拠があったかご教授いただきたい。
P-22 肝門部胆管癌の術前診断で手術した、肝細胞癌の一例
○春日 範樹、松本 彰太、杉本 祐一、関野 雄典
横浜労災病院 消化器内科
症例は88歳男性。X年3月腹痛と発熱を主訴に受診した造影CTで遠位胆管に高吸収域を認め、総胆管結石性胆管炎疑いで緊急EBS留置された。抗血栓薬を内服しており待機的採石の予定であったが、X年4月に再度胆管炎で入院。炎症改善後のERCPでBismuthⅡ型の肝門部狭窄が確認され、採石時に血腫を認めたことから、肝門部胆管癌による胆道出血と診断した。局所生検はAdenocarcinomaであった。エコーでは左肝管内腔を主座とした32×15×13mmの低エコー腫瘍が指摘され、肝実質への浸潤は描出できなかった。MRCPでは肝門部胆管内腔にT2WI低信号、T1WI低信号、DWI高信号を示す腫瘍性病変があり、再検したDynamic CTで同病変は早期から造影される腫瘍として描出されたが、wash outはなかった。左門脈浸潤が疑われ、ICG Krem 0.12,15分値10.4%の肝予備能から、X年5月に左葉尾状切除・肝外胆管切除・胆道再建術を施行した。術中の肉眼所見は球状の境界明瞭な白色充実性腫瘍であり、浸潤傾向に乏しい印象であった。摘出標本の病理学的組織検査では胆管内の腫瘍は肝内へ連続し、免疫染色ではHepatocyte(+)AFP(+)CK7(-)CK20(-)となり、胆管周囲の幹細胞に生じた肝細胞癌が低分化となり胆管内に穿破し塞栓状になったと考えられた。胆管上皮の異型は認めなかった。最終診断は肝細胞癌 pT1bN0M0 stageIBで脈管侵襲はなかった。
本症例において術前に胆管に露出した肝細胞癌と診断できる根拠があったかご教授いただきたい。