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症例は69歳女性。黄疸を主訴に近医受診し、肝門部に腫瘤指摘された。右側胆管は前後区の2次分枝に病変が進展し、左側はB4合流部に進展していた。前医で根治切除不能肝門部胆管癌と診断され、ゲムシタビン+シスプラチン+デュルバルマブ(GCD)療法が開始された。3コース施行後の画像評価で病勢の進行が認められなかったため、手術目的に当科紹介された。当院で施行したCT検査でも肝門部胆管の壁肥厚を認め、右側は前区2次分枝にまで、左側はB2/3とB4合流部付近にまで、遠位側は胆嚢管合流部に及んでいた。以上の所見より右葉尾状葉切除、肝外胆管切除にてR0切除が可能と判断し、経皮的門脈塞栓を行った後に、手術を施行した。手術時間9時間17分、出血820mlであった。術後経過に問題なく、術後19日に自宅退院した。病理組織学的所見では、腫瘍は炎症細胞浸潤や粘液を伴う線維性間質を背景として大型~小型の腺管や癒合腺管を形成して増殖しており、一部で豊富な粘液を伴い、核が偏在したsignet ring cellが個在性に認められた。病理診断はAdenocarcinoma(mod-sig>wel), ypT2a(SE), ypPV0, ypA0, INFb, Ly1a, V1a, Pn1a, ypN1(1/3), ycM0, ypStageⅢCと診断した。化学療法効果はCAP分類でGrade2相当と判定した。術後5ヶ月現在無再発生存中である。GCD療法後の肝門部領域胆管癌の病理組織学的所見に関する報告は現在のところ稀少であり、病理学的所見を中心に、文献的考察も加え報告する。
P-23 GCD療法施行後に根治切除が施行された肝門部領域胆管癌の一例
○髙岡 憲敬1)、野路 武寛1)、頼永 聡子1,2)、三橋 智子2)、田中 公貴1)、松井 あや1)、中西 喜嗣1)、浅野 賢道1)、中村 透1)、平野 聡1)
1)北海道大学大学院医学院・医学研究院 消化器外科学教室Ⅱ、2)北海道大学病院 病理部病理診断科
症例は69歳女性。黄疸を主訴に近医受診し、肝門部に腫瘤指摘された。右側胆管は前後区の2次分枝に病変が進展し、左側はB4合流部に進展していた。前医で根治切除不能肝門部胆管癌と診断され、ゲムシタビン+シスプラチン+デュルバルマブ(GCD)療法が開始された。3コース施行後の画像評価で病勢の進行が認められなかったため、手術目的に当科紹介された。当院で施行したCT検査でも肝門部胆管の壁肥厚を認め、右側は前区2次分枝にまで、左側はB2/3とB4合流部付近にまで、遠位側は胆嚢管合流部に及んでいた。以上の所見より右葉尾状葉切除、肝外胆管切除にてR0切除が可能と判断し、経皮的門脈塞栓を行った後に、手術を施行した。手術時間9時間17分、出血820mlであった。術後経過に問題なく、術後19日に自宅退院した。病理組織学的所見では、腫瘍は炎症細胞浸潤や粘液を伴う線維性間質を背景として大型~小型の腺管や癒合腺管を形成して増殖しており、一部で豊富な粘液を伴い、核が偏在したsignet ring cellが個在性に認められた。病理診断はAdenocarcinoma(mod-sig>wel), ypT2a(SE), ypPV0, ypA0, INFb, Ly1a, V1a, Pn1a, ypN1(1/3), ycM0, ypStageⅢCと診断した。化学療法効果はCAP分類でGrade2相当と判定した。術後5ヶ月現在無再発生存中である。GCD療法後の肝門部領域胆管癌の病理組織学的所見に関する報告は現在のところ稀少であり、病理学的所見を中心に、文献的考察も加え報告する。