室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。
【症例】74歳、女性。
【主訴】なし。
【現病歴】68歳時に胸腺癌を発症し、拡大胸腺摘出術、左肺上葉部分切除術、左腕頭静脈、心膜合併切除が施行された。71歳時に胸腺癌の単発肝転移(S5)が出現し、腹腔鏡下肝部分切除術が施行された。74歳時のCTで膵頭体部に37mm大の低吸収域および肝S8に20mm大の低吸収域が出現した。
【経過】血液検査ではCEA, CA19-9, Span-1, DUPAN-2, NSE, ProGRP, IgG4は正常範囲内であった。MRCPでは膵頭体部に辺縁主体の増強効果を有する分葉状腫瘤として描出された。超音波内視鏡検査では血流が比較的豊富な分葉状の充実性腫瘤として描出され、確定診断目的に超音波内視鏡下針生検を施行した。生検組織では膵組織を背景に、核小体明瞭で両染性の細胞質を有する異型上皮が胞巣状に増生していた。免疫染色はCD5(+), c-kit(+), bcl-2(+), CK7(+), CK19(+), CK20(a few+), p40(+), CK14(-), CDX2(-), CD10(focal+), trypsin(-), TTF-1(-), Naspin A(-), synaptophysin(+/-), chromogranin A(-), CD56(-), p53 overexpression(-), Ki-67LI:10-20%であり、胸腺癌膵転移、肝転移と診断した。膵炎や出血予防目的に膵・肝病変に対して体幹部定位放射線治療を施行し、その後化学療法を施行した。
【考察】胸腺癌術後の膵転移は非常に稀である。本症例の画像所見と切除標本を詳細に検討し、今後の診断の一助となるような討論を希望する。
P-27 超音波内視鏡下針生検が確定診断に有用であった胸腺癌膵転移の一例
○前川 永子1)、高橋 孝輔1)、田島 昌和1)、中尾 康彦1)、福島 真典1)、佐々木 龍1)、小澤 栄介1)、三馬 聡1)、宮明 寿光1)、黒濱 大和2)
1)長崎大学病院 消化器内科、2)長崎大学病院 病理診断科・病理部
【症例】74歳、女性。
【主訴】なし。
【現病歴】68歳時に胸腺癌を発症し、拡大胸腺摘出術、左肺上葉部分切除術、左腕頭静脈、心膜合併切除が施行された。71歳時に胸腺癌の単発肝転移(S5)が出現し、腹腔鏡下肝部分切除術が施行された。74歳時のCTで膵頭体部に37mm大の低吸収域および肝S8に20mm大の低吸収域が出現した。
【経過】血液検査ではCEA, CA19-9, Span-1, DUPAN-2, NSE, ProGRP, IgG4は正常範囲内であった。MRCPでは膵頭体部に辺縁主体の増強効果を有する分葉状腫瘤として描出された。超音波内視鏡検査では血流が比較的豊富な分葉状の充実性腫瘤として描出され、確定診断目的に超音波内視鏡下針生検を施行した。生検組織では膵組織を背景に、核小体明瞭で両染性の細胞質を有する異型上皮が胞巣状に増生していた。免疫染色はCD5(+), c-kit(+), bcl-2(+), CK7(+), CK19(+), CK20(a few+), p40(+), CK14(-), CDX2(-), CD10(focal+), trypsin(-), TTF-1(-), Naspin A(-), synaptophysin(+/-), chromogranin A(-), CD56(-), p53 overexpression(-), Ki-67LI:10-20%であり、胸腺癌膵転移、肝転移と診断した。膵炎や出血予防目的に膵・肝病変に対して体幹部定位放射線治療を施行し、その後化学療法を施行した。
【考察】胸腺癌術後の膵転移は非常に稀である。本症例の画像所見と切除標本を詳細に検討し、今後の診断の一助となるような討論を希望する。