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P-28 術前に診断し得た小胆管NETの一例

○神保 泰久1)、藤澤 聡郎1)、太田 寛人1)、髙﨑 祐介1)、佐野 勝廣2)、福村 由紀3)、齋浦 明夫4)、伊佐山 浩通1)
1)順天堂大学 消化器内科、2)順天堂大学 放射線診断学、3)順天堂大学 靭帯病理病態学、4)順天堂大学 肝胆膵外科


 症例は67歳男性。無症状であったが、健康診断の腹部超音波検査で膵嚢胞を指摘され前医受診。MRCPにて膵内胆管内に腫瘤を認めたため、同病変の精査目的に当院紹介となった。ダイナミック造影CTにて乳頭より肝門側12mmの遠位胆管右前壁に長径8mmの辺縁整、内部等吸収の隆起性病変を認め、動脈相で強く造影され、平衡相でWash outされていた。EOB-MRIではT1WIで軟部組織と同等の中等度信号、T2WIで胆管より相対的に低信号な信号強度であった。EUSでも同じ部位に長径8mm内部やや不均一な膵実質と比べてやや低エコーの腫瘤を認め、ソナゾイド造影では極早期から濃染された。前医施行のERCPでは下部胆管の右片側に表面平滑な隆起性病変を認め、POCSでは粘膜下腫瘤様であり、同部位から行った生検では粘膜のみで腫瘍は採取されなかった。胆管癌、十二指腸乳頭部GISTや胆管原発NENが鑑別として挙がったが、十二指腸との連続性がなく早期濃染を認めることから胆管NENの術前診断で外科切除の方針とした。幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し、切除標本にて遠位胆管神経内分泌腫瘍(NET-G1, pStage1)と診断した。
【病理組織学的所見】遠位胆管の粘膜層~線維筋層、わずかに漿膜下層に発育する腫瘍で、類円形核の腫瘍細胞が胞巣状、索状に増殖している。核分裂像は、1/10HPF未満、免疫染色では、Chromogranin A(+), Synaptophysin(+), CD56(+), INSM1(+), Somatostatin(+), Ki-67 LI: 1.2%であった。