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【症例】56歳男性
【現病歴】背部の違和感を自覚しかかりつけ医のCTで膵尾部膵管狭窄を指摘され前医を受診した。CEA, CA19-9は基準値範囲内であった。前医EUSでは膵管狭窄部に一致して5mm大の結節を認め、同部よりEUS-FNAを施行されているが悪性所見は得られず、当院を紹介受診した。CTで膵尾部に主膵管狭窄と尾側主膵管は径6mmの拡張を認めた。腫瘤は明らかではなかったが、膵管狭窄部近傍に遷延性の造影効果を認めた。上流側の拡張した膵管領域に膵実質萎縮を認めた。当院のEUSでは狭窄部周囲に淡い低エコー域を認めたが、腫瘤は指摘できなかったため、膵上皮内癌を疑いERPを実施した。膵管造影では膵尾部に既知の主膵管狭窄を認め、1回目のSPACEでは悪性細胞は検出されなかった。3か月後に再度SPACE施行し、膵液細胞検査6回中3回が悪性疑いであった。膵体尾部切除術を施行し、病変が小さいために外科的切除直後の切除検体にEUSを施行し、膵管狭窄と低エコー領域の関心領域にマーキングし切り出して標本作成を行った。HE標本では膵管狭窄部の主膵管から上流側に膵上皮内癌が広がり、膵管狭窄部で微小浸潤し(浸潤距離 約0.3x0.25mm)神経周囲侵襲が1か所みられた。画像で膵体尾部の萎縮していた背景にも広範にlow grade PanINが広がっていた。
【まとめ】SPACEを繰り返すことで悪性診断し、切除標本EUSで関心領域を切り出すことで診断し得た微小浸潤癌の1例を経験したので報告する。
P-3 繰り返すSPACEで診断し得た微小浸潤膵癌の1例
○仲程 純1)、千葉 和朗1)、田畑 宏樹1)、氏田 亙1)、脊山 泰治2)、冲永 裕子2)、原田 庸寛2)、白田 力2)、堀口 慎一郎3)、鈴木 瑞佳4)
1)がん・感染症センター都立駒込病院 消化器内科、2)がん・感染症センター都立駒込病院 肝胆膵外科、3)がん・感染症センター都立駒込病院 病理科、4)がん・感染症センター都立駒込病院 放射線科
【症例】56歳男性
【現病歴】背部の違和感を自覚しかかりつけ医のCTで膵尾部膵管狭窄を指摘され前医を受診した。CEA, CA19-9は基準値範囲内であった。前医EUSでは膵管狭窄部に一致して5mm大の結節を認め、同部よりEUS-FNAを施行されているが悪性所見は得られず、当院を紹介受診した。CTで膵尾部に主膵管狭窄と尾側主膵管は径6mmの拡張を認めた。腫瘤は明らかではなかったが、膵管狭窄部近傍に遷延性の造影効果を認めた。上流側の拡張した膵管領域に膵実質萎縮を認めた。当院のEUSでは狭窄部周囲に淡い低エコー域を認めたが、腫瘤は指摘できなかったため、膵上皮内癌を疑いERPを実施した。膵管造影では膵尾部に既知の主膵管狭窄を認め、1回目のSPACEでは悪性細胞は検出されなかった。3か月後に再度SPACE施行し、膵液細胞検査6回中3回が悪性疑いであった。膵体尾部切除術を施行し、病変が小さいために外科的切除直後の切除検体にEUSを施行し、膵管狭窄と低エコー領域の関心領域にマーキングし切り出して標本作成を行った。HE標本では膵管狭窄部の主膵管から上流側に膵上皮内癌が広がり、膵管狭窄部で微小浸潤し(浸潤距離 約0.3x0.25mm)神経周囲侵襲が1か所みられた。画像で膵体尾部の萎縮していた背景にも広範にlow grade PanINが広がっていた。
【まとめ】SPACEを繰り返すことで悪性診断し、切除標本EUSで関心領域を切り出すことで診断し得た微小浸潤癌の1例を経験したので報告する。