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P-30 限局性膵管狭窄を契機に診断した高異型度上皮内腫瘍(High-grade PanIN)の1例

○大橋 洋祐1)、岩下 拓司1)、岩田 翔太1)、千住 明彦1)、上村 真也1)、岩田 圭介2)、佐々木 義之3)、渡部 直樹4)、田中 卓二4)、清水 雅仁1)
1)岐阜大学医学部附属病院 第一内科、2)岐阜市民病院 消化器内科、3)岐阜市民病院 外科、4)岐阜市民病院 病理診断科


 症例は80歳女性。近医の血液検査で軽度肝障害を認め、精査目的に消化器内科を紹介受診した。造影CTでは膵実質に腫瘤や萎縮などの特異所見は認めなかったが、MRCPでは膵体部の膵管は途絶しており、尾側膵管は4mmと軽度拡張していた。EUS では穿刺可能な腫瘤性病変はなかったため、連続膵液細胞診(SPACE)での精査を行った。膵管造影を行うと膵体部に7mmの狭窄を認め、尾側の膵管は3mm程度に拡張していた。狭窄部を越えて、4Fr ENPDカテーテルを留置し、2日間かけて7回の細胞診を提出したところ4回悪性疑いを検出して、早期の膵癌が疑われた。術前化学療法は施行せず、腹腔鏡下膵体尾部切除術行った。摘出標本の病理組織学的所見は、狭窄部中心に高異型度上皮内腫瘍(High-grade PanIN)を認め、その近傍に低異型度上皮内腫瘍(Low-grade PanIN)を認めた。限局性主膵管狭窄と尾側膵管拡張をきたしたHigh-grade PanINを経験した。早期の膵癌に関する術前画像所見、病理所見に関してご教授ください。