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症例は79歳女性。X-8年にUSで膵体部に9mmの多房性嚢胞性病変を指摘された。MRI/MRCPではT2WI高信号、T1WI低信号であり、主膵管との交通は明確ではなかったが、分枝型IPMNと診断して経過観察していた。年1回のUSで緩徐に増大し、X-4年には最大径19mmとなったため造影CT,MRI/MRCP,EUSを施行した。同病変は25mmの多房性嚢胞性病変として描出され、充実成分や隔壁肥厚は認めなかったものの、尾側膵管は4.5mmに拡張していた。EUSでは主膵管と多房性嚢胞の交通が疑われた。ERPでは膵管の口径不同を認めず、嚢胞も造影されなかった。膵液細胞診はClass IIIであり、この時点では増大傾向をworrisome feature(WF)とする分枝型IPMNと、病変による主膵管圧排と診断した。X-2年のEUSで嚢胞径は19mmに縮小しており、主膵管拡張は3mmと改善していた。CH-EUSでは、8mm程の造影効果を伴う隔壁肥厚を認め、新たなWFと判断した。X年のMRI/MRCPで22mmと、緩徐ではあるが嚢胞の再増大を認め、造影CTでは隔壁肥厚所見に加え石灰化が出現し、一部造影効果を伴う充実性成分が疑われた。EUSにおいても隔壁肥厚に加え長径11.8mmの造影効果を伴う結節が疑われた。経過からIPMNの悪性転化と診断し、膵体尾部切除+脾臓合併切除術を施行した。最終病理診断はSerous cyst adenomaとなった。術前経過と画像でSCNと診断することができたかご討議いただきたい。
P-31 多彩な画像変化を示し,IPMNの悪性転化との鑑別に難渋したSCNの一切除例
○松本 彰太、春日 範樹、杉本 祐一、関野 雄典
横浜労災病院 消化器内科
症例は79歳女性。X-8年にUSで膵体部に9mmの多房性嚢胞性病変を指摘された。MRI/MRCPではT2WI高信号、T1WI低信号であり、主膵管との交通は明確ではなかったが、分枝型IPMNと診断して経過観察していた。年1回のUSで緩徐に増大し、X-4年には最大径19mmとなったため造影CT,MRI/MRCP,EUSを施行した。同病変は25mmの多房性嚢胞性病変として描出され、充実成分や隔壁肥厚は認めなかったものの、尾側膵管は4.5mmに拡張していた。EUSでは主膵管と多房性嚢胞の交通が疑われた。ERPでは膵管の口径不同を認めず、嚢胞も造影されなかった。膵液細胞診はClass IIIであり、この時点では増大傾向をworrisome feature(WF)とする分枝型IPMNと、病変による主膵管圧排と診断した。X-2年のEUSで嚢胞径は19mmに縮小しており、主膵管拡張は3mmと改善していた。CH-EUSでは、8mm程の造影効果を伴う隔壁肥厚を認め、新たなWFと判断した。X年のMRI/MRCPで22mmと、緩徐ではあるが嚢胞の再増大を認め、造影CTでは隔壁肥厚所見に加え石灰化が出現し、一部造影効果を伴う充実性成分が疑われた。EUSにおいても隔壁肥厚に加え長径11.8mmの造影効果を伴う結節が疑われた。経過からIPMNの悪性転化と診断し、膵体尾部切除+脾臓合併切除術を施行した。最終病理診断はSerous cyst adenomaとなった。術前経過と画像でSCNと診断することができたかご討議いただきたい。