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症例は50代女性、体重減少を主訴に受診。腹部CTで膵頭部から膵体部にかけて不均一な造影効果を伴う長径約10cmの占拠性病変を認めた。EUSにて腫瘍は膵管内に充満し長軸方向に広範囲に進展し、主乳頭から十二指腸内へ突出していた。同部の生検にて壊死組織と肉芽組織の中に異型腺管構造と思われる部分をわずかに認めたため、膵管内管状乳頭腫瘍・膵管内乳頭粘液性腫瘍・通常型膵癌等、膵管内進展を来す悪性腫瘍と診断した。CTにて腫瘍は門脈本幹から上腸間膜静脈・脾静脈へと広範囲に接していたためBR-PVと判断し、GEM+nabPTXを2クール施行したが、膵尾部の膵管炎を来し緊急入院となった。各種画像検査の再検にて腫瘤の増大が確認され、内視鏡検査を再検すると新たに副乳頭から十二指腸内への進展も観察された。ENPD留置による感染コントロール後膵全摘術を施行。病理結果はH&E染色上は腺腔形成の目立つ浸潤性膵管癌を疑う所見であったが、各種免疫染色にてTrypsin染色のみ陽性であった。また、腫瘍は膵管内を沿うように発育しており、膵管上皮にも同様にTrypsin染色陽性の腫瘍細胞を認めた。これらの結果から主膵管・副膵管を経由して十二指腸内へ進展した膵腺房細胞癌と最終診断した。画像上は膵管内管状乳頭腫瘍等の可能性が否定できず、本研究会での検討をお願いしたく存じ上げます。術後経過は良好で約2年の経過で再発・転移は認めていない。
P-5 主膵管・副膵管を経由して十二指腸内への進展を認めた膵腫瘍の一例
○大西 賢多朗、中島 滋人、青田 紗季、宮尾 遼、森田 翔一、阪口 亮平、山脇 真、樋口 国博、長谷川 浩司
独立行政法人JCHO四日市羽津医療センター 消化器内科
症例は50代女性、体重減少を主訴に受診。腹部CTで膵頭部から膵体部にかけて不均一な造影効果を伴う長径約10cmの占拠性病変を認めた。EUSにて腫瘍は膵管内に充満し長軸方向に広範囲に進展し、主乳頭から十二指腸内へ突出していた。同部の生検にて壊死組織と肉芽組織の中に異型腺管構造と思われる部分をわずかに認めたため、膵管内管状乳頭腫瘍・膵管内乳頭粘液性腫瘍・通常型膵癌等、膵管内進展を来す悪性腫瘍と診断した。CTにて腫瘍は門脈本幹から上腸間膜静脈・脾静脈へと広範囲に接していたためBR-PVと判断し、GEM+nabPTXを2クール施行したが、膵尾部の膵管炎を来し緊急入院となった。各種画像検査の再検にて腫瘤の増大が確認され、内視鏡検査を再検すると新たに副乳頭から十二指腸内への進展も観察された。ENPD留置による感染コントロール後膵全摘術を施行。病理結果はH&E染色上は腺腔形成の目立つ浸潤性膵管癌を疑う所見であったが、各種免疫染色にてTrypsin染色のみ陽性であった。また、腫瘍は膵管内を沿うように発育しており、膵管上皮にも同様にTrypsin染色陽性の腫瘍細胞を認めた。これらの結果から主膵管・副膵管を経由して十二指腸内へ進展した膵腺房細胞癌と最終診断した。画像上は膵管内管状乳頭腫瘍等の可能性が否定できず、本研究会での検討をお願いしたく存じ上げます。術後経過は良好で約2年の経過で再発・転移は認めていない。