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症例は70歳男性。下腿浮腫精査の単純CT検査で、膵体部腫瘍性病変を指摘された。5ヶ月前の単純CT検査では膵体尾部の限局性膵萎縮のみが指摘可能であった。既往歴に糖尿病あり。血液検査ではCA19-9が42.5(U/mL)と上昇していた。造影CT検査では基本的には26mm大の乏血性腫瘍として認識され、内部に嚢胞化を疑う液体貯留と早期造影効果を伴う結節を認めた。また門脈相では腫瘍辺縁に淡い造影効果を認めた。明らかな転移・脈管浸潤は認めなかった。MRI検査ではT1低信号、T2高信号、DWI拡散抑制及びADC低下を認めた。MRCPでは尾側膵管拡張と内部小結節を伴う嚢胞性腫瘍として認識された。EUSでは嚢胞内部に一部乳頭様充実部分を認め、周囲は不整な低エコー腫瘍像を呈した。CE-EUSでは実質部分は早期相から軽度の造影効果をまばらに認めたが、基本的には乏血性の病変であった。辺縁充実部に対しEUS-FNABを施行。細胞診では中小型の類円形核保有細胞が重積性集塊を呈し、一部にロゼット様配列を認める細胞と核型不整の著しい大型細胞集塊 が混在する所見、組織診は腺癌の診断であった。以上より腺房細胞癌・退形成膵癌・内分泌腫瘍などの成分を保有する膵癌を疑い、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。術後病理では低分化型腺癌主体に一部に退形成膵癌を呈しておりT3(腫瘍径26mm)N1M0 pStage IIBの診断であった。嚢胞変性を含む多彩な画像変化は退形成膵癌成分を反映した所見と考えられた。
P-6 短期間で急速増大傾向を呈した嚢胞変性を伴う膵腫瘍の一例
○辻 博晶1)、佐上 亮太2)、錦織 英史1)、佐藤 孝生1)、佐藤 啓司3)、小山 雄三3)、藤原 省三4)、本田 五郎5)
1)大分三愛メディカルセンター 消化器内科、2)大分大学 医学部 消化器内科学講座、3)大分三愛メディカルセンター 病理診断部、4)大分三愛メディカルセンター 消化器外科、5)東京女子医科大学 消化器病センター 肝胆膵外科
症例は70歳男性。下腿浮腫精査の単純CT検査で、膵体部腫瘍性病変を指摘された。5ヶ月前の単純CT検査では膵体尾部の限局性膵萎縮のみが指摘可能であった。既往歴に糖尿病あり。血液検査ではCA19-9が42.5(U/mL)と上昇していた。造影CT検査では基本的には26mm大の乏血性腫瘍として認識され、内部に嚢胞化を疑う液体貯留と早期造影効果を伴う結節を認めた。また門脈相では腫瘍辺縁に淡い造影効果を認めた。明らかな転移・脈管浸潤は認めなかった。MRI検査ではT1低信号、T2高信号、DWI拡散抑制及びADC低下を認めた。MRCPでは尾側膵管拡張と内部小結節を伴う嚢胞性腫瘍として認識された。EUSでは嚢胞内部に一部乳頭様充実部分を認め、周囲は不整な低エコー腫瘍像を呈した。CE-EUSでは実質部分は早期相から軽度の造影効果をまばらに認めたが、基本的には乏血性の病変であった。辺縁充実部に対しEUS-FNABを施行。細胞診では中小型の類円形核保有細胞が重積性集塊を呈し、一部にロゼット様配列を認める細胞と核型不整の著しい大型細胞集塊 が混在する所見、組織診は腺癌の診断であった。以上より腺房細胞癌・退形成膵癌・内分泌腫瘍などの成分を保有する膵癌を疑い、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。術後病理では低分化型腺癌主体に一部に退形成膵癌を呈しておりT3(腫瘍径26mm)N1M0 pStage IIBの診断であった。嚢胞変性を含む多彩な画像変化は退形成膵癌成分を反映した所見と考えられた。