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症例は59歳男性。糖尿病増悪を契機に施行されたCTで膵癌が疑われ、精査加療目的に当科紹介となった。腫瘍マーカー (CEA:3.9ng/mL, CA19-9<1U/mL)や膵酵素(AMY:45U/mL, Lipase:38U/L)は正常であった。造影CTで膵体部主膵管内に造影効果を示す腫瘤が認められ、尾側膵管の著明な拡張を伴っていた。腫瘤はMRIで拡散低下、PET-CTで淡い集積を示した。転移は認められなかった。EUSでも膵体部主膵管の腫瘤による閉塞と尾側膵管の拡張が観察された。病変は膵管内に限局して観察され、膵管内腫瘍が疑われた。ERPで腫瘤は尾側膵管の拡張を伴う膵体部主膵管内の結節状透亮像として認められた。造影時に粘液は確認されなかった。ITPNや粘液産生の乏しいIPMNを鑑別診断に挙げ、経乳頭的に結節部より擦過細胞診、生検を施行した。生検で膵腺房細胞癌と診断され、腹腔鏡補助下膵体尾部切除術が施行された。組織学的に、腫瘤は拡張した主膵管内を主座として長軸方向に約45mmの範囲で増殖・進展し、分枝膵管への進展も散見されたが、膵管外には約3mmの微小浸潤を示すのみであった。ほとんどが膵管内進展で占められる膵腺房細胞癌は稀と考えられ、文献的な考察を加え報告する。
P-7 主膵管内を主座とした膵腺房細胞癌の1例
○安藤 梢1,2)、菅野 敦1)、池田 恵理子1,2)、佐野 直樹2)、田中 朗嗣1)、櫻井 祐輔1)、横山 健介1)、笹沼 英紀3)、福嶋 敬宜2)、山本 博徳1)
1)自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門、2)自治医科大学 病理診断部、3)自治医科大学 外科学講座消化器一般移植外科部門
症例は59歳男性。糖尿病増悪を契機に施行されたCTで膵癌が疑われ、精査加療目的に当科紹介となった。腫瘍マーカー (CEA:3.9ng/mL, CA19-9<1U/mL)や膵酵素(AMY:45U/mL, Lipase:38U/L)は正常であった。造影CTで膵体部主膵管内に造影効果を示す腫瘤が認められ、尾側膵管の著明な拡張を伴っていた。腫瘤はMRIで拡散低下、PET-CTで淡い集積を示した。転移は認められなかった。EUSでも膵体部主膵管の腫瘤による閉塞と尾側膵管の拡張が観察された。病変は膵管内に限局して観察され、膵管内腫瘍が疑われた。ERPで腫瘤は尾側膵管の拡張を伴う膵体部主膵管内の結節状透亮像として認められた。造影時に粘液は確認されなかった。ITPNや粘液産生の乏しいIPMNを鑑別診断に挙げ、経乳頭的に結節部より擦過細胞診、生検を施行した。生検で膵腺房細胞癌と診断され、腹腔鏡補助下膵体尾部切除術が施行された。組織学的に、腫瘤は拡張した主膵管内を主座として長軸方向に約45mmの範囲で増殖・進展し、分枝膵管への進展も散見されたが、膵管外には約3mmの微小浸潤を示すのみであった。ほとんどが膵管内進展で占められる膵腺房細胞癌は稀と考えられ、文献的な考察を加え報告する。