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76歳女性。分枝膵管型IPMNを6年間定期的に画像フォローされていたが、精査目的に紹介受診となった。糖尿病既往と膵癌家族歴(母)あり。血液検査では血糖値の他特記なし。MRIでは明確な腫瘤を指摘できなかったが、MRCPでは膵体部主膵管不明瞭と近傍の分枝拡張を認めた。腹部造影CTでは主膵管不整を指摘できないが、分枝膵管拡張の頭側に括れ形状の限局性膵実質委縮を認めた。EUSでは分枝膵管近傍の主膵管は頭側と比し狭小化が疑われ、周囲低エコー所見を認めたが尾側膵管拡張を伴わなかった。ERPではMRCP膵管不明瞭部位に一致して膵管壁不整像を認めた。近傍の分枝膵管拡張は造影されなかった。全画像検査において膵頭部には分枝拡張と膵実質委縮を認めるのみであった。連続膵液細胞診でHighly suspicious of adenocarcinoma(classⅣ)を複数回得たことから、HG-PanINの存在を強く疑い、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。病理組織学的所見としては、頭側から7切片にHG-PanINが散在していた。切除断端にもHG-PanINを疑う所見を認めたため、膵全摘術も検討されたが、患者希望により経過観察となった。術後5か月後の造影CT検査で残膵に20mm程度の造影不良域を認め、組織検査により膵癌再発の診断に至った。
【検討要望事項】
①切除断端のHG-PanINの有無に関する病理学的評価
②断端のHG-PanINが術後5か月で粗大再発する可能性に関して
③術前に膵頭部に浸潤癌が存在した可能性に関する画像的考察
PL-1 診断後11か月で術後再発を来たしたHigh-grade PanINの一例
○佐上 亮太1,2)、錦織 英史2)、辻 博晶2)、佐藤 孝生2)、広島 康久1)、藤原 省三3)、本田 五郎4)、堀口 慎一郎5)、水上 一弘1)、村上 和成1)
1)大分大学医学部 消化器内科学講座、2)大分三愛メディカルセンター 消化器内科、3)大分三愛メディカルセンター 消化器外科、4)東京女子医科大学 消化器病センター 肝胆膵外科、5)がん・感染症センター 都立駒込病院 病理科
76歳女性。分枝膵管型IPMNを6年間定期的に画像フォローされていたが、精査目的に紹介受診となった。糖尿病既往と膵癌家族歴(母)あり。血液検査では血糖値の他特記なし。MRIでは明確な腫瘤を指摘できなかったが、MRCPでは膵体部主膵管不明瞭と近傍の分枝拡張を認めた。腹部造影CTでは主膵管不整を指摘できないが、分枝膵管拡張の頭側に括れ形状の限局性膵実質委縮を認めた。EUSでは分枝膵管近傍の主膵管は頭側と比し狭小化が疑われ、周囲低エコー所見を認めたが尾側膵管拡張を伴わなかった。ERPではMRCP膵管不明瞭部位に一致して膵管壁不整像を認めた。近傍の分枝膵管拡張は造影されなかった。全画像検査において膵頭部には分枝拡張と膵実質委縮を認めるのみであった。連続膵液細胞診でHighly suspicious of adenocarcinoma(classⅣ)を複数回得たことから、HG-PanINの存在を強く疑い、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。病理組織学的所見としては、頭側から7切片にHG-PanINが散在していた。切除断端にもHG-PanINを疑う所見を認めたため、膵全摘術も検討されたが、患者希望により経過観察となった。術後5か月後の造影CT検査で残膵に20mm程度の造影不良域を認め、組織検査により膵癌再発の診断に至った。
【検討要望事項】
①切除断端のHG-PanINの有無に関する病理学的評価
②断端のHG-PanINが術後5か月で粗大再発する可能性に関して
③術前に膵頭部に浸潤癌が存在した可能性に関する画像的考察
